2019年10月法話 『社会とは』

2019年09月21日

画.阿 貴志子

社会とは

 

 人と人との間と書いて人間という。ひとりで生きられないのが人間だ。その人間同士が生きる場所を世間といったり世の中といったりしている。しかし、最近は、世間といわずに社会という方が多くなった。

 では、社会とはどのような意味があるのか。

 新しいことばだと思っていたら、とんでもない。古い歴史を背負っていたのだ。

 社会とは、『新選漢和辞典』によると、

「社会とは、昔、二十五家を一社とし、その集会をいう」とある。

 また、社については、

「社とは土地の神のこと、または、その神を祭るお宮。二十五軒の集落を里といい、里ごとに社があった」

 と説明している。これを見ると、社会とは二十五軒を一単位とする集落だったことがわかる。そして、その中心に神さまがいらしたのが社なのだ。ということは昔の日本人は宗教的な民族だったのだ。

 また、そのことから派生して、同じ志を持った人たちの集まりという意味になり、結社という集団ができ、会社という組織が作られた。

 今、私たちは社会人として生活している。社会の中にいるのだから、社会常識からはずれないように、社会通念に反した行為をしないように気をつかっているが、それも、神さまを祭る二十五軒の集落の営みが知らず知らずのうちに潜在しているからなのだろう。

 これが歴史というものの力だといえる。



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