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2018年12月法話 『はずれくじ』
2018年11月26日
はずれくじ
般若心経の「色即是空」は、多くの人の知るところである。かたちあるものはそのかたちでありつづけることはできないという意味である。だから、空は無ではない。何もないのではなく、固定した実体はあり得ないと言ったまでだ。だから、私たちのものの見方も固定した見方をしてはならないのだ。
私たちは、ひいき目に見たり、損得勘定で計りがちだが、見方を変えてみたら、思いのほか意外なことに気づくのではないだろうか。
固定的な見方にとらわれず、さまざまな見地に立って見るのも空なる見方と言える
たとえば、宝くじ。
東京都の人口以上の枚数を売るのだから、その中の一人になることは稀有中の稀有なのだ。でも買う。もしかしたらというはかない望みがそうさせるのだろう。
さて、当たれば有頂天だが、はずれたら、どうするか、ここで空なる見方をして見よう。はずれくじにとらわれては空なる見方とはいえない。
当たりくじはなぜ高額になるのか。
それは、くじが多く売れ、はずれくじを多くしなければならない。とすると、はずれくじの支えによって当たりくじが成り立っていることになるではないか。無ではない。はずれくじは役に立っているのである。
はずれくじによって成り立つ宝くじ。
だからといって言うわけではないが、
(自分は人生のはずれくじだ)などと思わないことだ。